コレクターの世界観
No. 124 令和8(2026)年4月3日
北九州市は、平成7(1995)年度から戦時資料の収集をはじめ、これまでに市民の方々から5,500点以上の寄贈を受けています。現在開催中の企画展「手のひらのなかの戦争 ―令和7年度収蔵品展―」では、コレクター・宮﨑修一さんよりご寄贈いただいた「戦時とやきもの 宮﨑コレクション」より約50点を展示しております。
宮﨑コレクションは、子ども用の飯茶碗(以下、子ども茶碗)、子ども用の貯金箱、土人形、金属代用陶磁器、それらに関する紙資料など約300点からなる資料です。宮﨑さんは平成17(2005)年より、昭和初期~終戦の混乱期までに生産され、一般市民が使用した陶磁器製品の収集をはじめられました。骨董市で戦車と軍旗が描かれた子ども茶碗を見つけ、戦時体制が子どもの手のひらにもおよんでいたことに衝撃を受け、「この前後にどのような図案があるのだろう」と興味を持ったことが収集のきっかけだったそうです。

蒐集のきっかけとなった子ども茶碗(個人蔵)
宮﨑さんは蒐集コンセプトを、「もの集め→もの語り→もの収め」であると話します。まずは自身が収集することを楽しみたい、そして集めたものからさまざま学びたい、最後に学んだことを社会にお返ししようと考えていらっしゃったそうです。還元先を探していたところ、当館が開館準備をしていることを新聞報道で知り、館のコンセプトが自身の蒐集基準と合致していると思い、寄贈を決められたとのことです。「ものは黙して語らないけれど、自分が勉強して調べていくうちに語りだす」のだと、楽しんで蒐集されている様子が伝わってきました。現在は、軍隊盃(兵役を終えた兵士が除隊の記念として近親者に贈った記念の盃)を蒐集されているそうです。
企画展は学芸員がストーリーを設定することが多いですが、今回は宮﨑さんの世界観をほとんどそのまま展示として用いています。子ども茶碗を中心とした企画展「手のひらのなかの戦争」は今月19日までの開催です。コレクターの関心により収集された多様な子ども茶碗の世界を、ぜひあなたの目でご覧ください。
(学芸員M)